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自転車を作ってるトコ

 
 

かつてイタリアでは、ロードバイク等の競技用自転車の多くが、専門の“チクリ(工房)”によって製造されていました。自転車競技が、日本の少年サッカーや少年野球のといったメジャースポーツと同じようなレベルで盛んなために、各街ごとに子供用の競技チームが存在していて、裾野の広い状態で選手が育成されている環境なのです。それぞれの街にそれぞれ地元のチームがあって、そのチームのために地元のチクリが競技用自転車を作成する…、といったようなスタイルでした。今は過去形となってしまったようなのですが、地域に根ざした“地産地消”みたいなものだったんだと思います、きっと。
現在はその形態がだいぶ様変わりしていて、海外に打って出たメーカーや、レースで名を上げたメジャーな工房といったごく一部の生産者だけが、淘汰の波をくぐり抜けれただけようです。本来ここのタイトルは「イタリアン・チクリ」等になるのかもしれませんが、現在はその形態があまりにも多様化していますので、このような“やんわり”としたタイトルにしておきました。
上から、アルファベットの順番です。












【 Bottecchia : ボテッキア 】

Carnielli(カルニエッリ?)という自転車関連の巨大メーカーに存在していた、由緒正しいロード系ブランドです。ツールの覇者でもある、イタリア人のオッタビオ・ボテッキアという名選手の名前がその由来ですが、オッタビオさんのご友人のカルニエッリさんがカレの死後、栄誉を讃えるべくボテッキアの名前を掲げて、競技用自転車のブランドとして確立したようです。この知識は20年以上前のうろ覚えなモノなので、多々勘違いもございましょうが、とても歴史のある競技用自転車ブランドということに間違いはありません。
このブランド名で、フィットネス用のエアロバイクが存在していたと思いますが、真のエアロバイク、タイムトライアル用のクロノストラーダこそがボテッキア・ブランドの象徴となる金字塔だと思います。紅白ストライプに彩られたあのビジュアルと前衛的かつ戦闘的なあの造形の前には、グレッグ・レモンのTVTカーボンの問題すらカル〜ク消し飛んでしまいました。かつて汐留あたりで催されたクレアティビタリア展で、ペゼンティ氏のレーザークロノとともに放たれたあの閃光は、幼少の頃衝撃を受けたガンディーニ系のオブジェのように、深いトラウマとなってボクのクリエイティブ魂の深淵に鋭利な爪痕を残しています。
権利や経営が他社に移行したようですが、現在もブランド名はしっかりと存続しているようで、現在のカーボンバイクもナカナカ魅力的だと思います。最新のタイポグラフィはとてもカッコヨイのですが、ブランドマークに大きな問題を抱えてしまっているようで、特撮ヒーローでオナジミな悪の組織めいた香りがしてしまいます。是非、ワタクシメにデザインやらせていただきたいと思いますが、ふた昔前のエンブレム状のヘッドマーク、リベット止めされた七宝焼的な金属プレートは、たとえサビサビになったとしても圧倒的にカッコヨイのです。

Bottecchia logo








【 DE ROSA : デローザ 】

デローザというロードの存在を知ったのは、たしか12歳頃の事でしょうか、おそらく兄の持っていた自転車雑誌に掲載されていた広告の写真に、そこはかとなく高揚するような魅力を覚えた…、といったようなカンジだったと思います。たしか、キザなネーミングだなぁ…と思った記憶がございます。ビジュアル的な記憶には、紺色のシックなフレームと黄色いDe Rosaのマークの印象があるのですが、今となっては思い出せません。ずっと後になって、そのような色を組み合わせたプロフェッショナルCが登場しますが、あのような派手なカンジではなかったと思います。(あれは、アイスクリーム屋さんのチームだったんでしたっけ? 復刻版は残念感が否めませんね。)
後から内臓に来るボディブローのようなモノなのか、少年時代のそんな印象が記憶の片隅にずっと残り、やがて大人になったボクは購入を決意し、自転車店の扉をたたく事となったのでした。その後の経緯は、Aページの冒頭付近にございますので、ここでは割愛させていただきます。
このデローザ様に、ワタクシメのような下劣な存在が何かを申し上げることなど、一切ございません。結局、少年の頃感じたあの高揚感を味わいたいと、今でも求め続けているのだと思います。疑いの余地もなく、なんらかの脳内物質が分泌されているのでしょう…、そうでないと説明できないコトが多すぎてしまいます。

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【 GIOS : ジオス 】

この自転車にも若かりしの頃、とても憧れた記憶がございます。現在のような大量生産大量消費を象徴するようなイメージはなく、やはりレースの実戦で活躍する艶姿に心奪われたんだと思います。ケルメ??なんだったかこのワードが脳裏に浮かびましたが、認知症の進んだシワのないノウミソにはそれがなんであるか、思い出すことなど到底出来ないのです。サイトを自分で作って、このような解説を書いたりするヒトビトって、そのためにどっかで調べてコピペやパクリをするのでしょうか?そうゆうのは何処にだって載ってそうなので、無理をしないでいいと思います。
実車としては、実戦用としてCARBON PULSやTITANIO等に憧れましたが、やっぱりクロモリ製のCOMPACT PRO、あの緻密なエンド部分の造形に引かれました。現在は省略されたようですが、実車に乗っみるとそんなのド〜デモヨイくらい素直な乗りゴコチで、良く走ってくれそうな素敵なフレームでした。デダチャイ製ですが、チューブメーカーもあのオーバーサイズのクロモリチューブに自信あると思います。あれっ?なにやらもっとクラシカルな記憶にTorinoの印象もありますね〜、きっと子供の頃から引かれてたに違いありません。シンクワンテナリオってアルミフレームがあったと思いますが、カルビチューボのようなテイストの伊語“チンクワンタ"と異なり、その気高いカタカナの響きに憧れたヒトも多かったのではないでしょうか…。
さる語学学校のポスター関連の業務にて、代理店の担当者から濃いブルーのベタヌキを強要されたのですが、どうしても断ることができませんでした。あれほどの色は出せる物ではありませんが、自分でもそのスペースはその色以外ないとわかっていました。モウシワケアリマセン。おかげで、潔いカラー展開の画面となりました。ジオス様のおかげです。

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【 MOSER : モゼール 】

モゼールに関しては選手の印象が圧倒的につよいですね、そうフランチェスコ・モゼール選手。それとやっぱりアワーレコード用のファニーなエアロバイクやディスクホイールの印象。機材としての造形美もずば抜けたインパクトがありますが、グラフィック・センスもやたらハイクオリティで、とくにモゼール選手自身の高速ベクトルのイメージを、記号のように具現化したようなあのディスクホイールのグラフィックは、現在を含めても最高レベルのデザインだと思っています。残念ながら、ボクにはモゼールに関するリアルタイムな記憶がございません。このようなビジュアルは、webによる海外からの情報補完が圧倒的に多いのです。あの頃の選手のリアルタイムな記憶といえば、どうしてもイノーに偏ってしまってるようで、これは唯一の情報源だったといえる雑誌の影響ということでしょうか…。インデュラインを打ち負かした1994ジロの覇者、ベルズィンの情報も当時の雑誌ではほとんどありませんでしたが。大きなレースに関する情報であれば、専門誌としてマイナーな選手の勝利でもしっかりと掲載してほしかったと思います。売り上げのための人気取りで編集内容が決定されてきたのだと思いますが、なんだか後々寂しいですよね、とっても。
モゼール製のフレームってオリア?が多い印象ですが間違いないですよね?ボクの所有しているモゼールは、スタッガードという数の少なそうなフレームということもあってか、コロンバスのAelleという廉価なチューブが使われています。あまり情報の得られないオリアのチューブで組まれてしまっていると、グレードの推測が困難になります。自分の勉強不足が原因なのですが、どなたかご存知の方がいらっしゃいましたら、情報の提供をお願いいたします。
ところで、モゼールのマークについてですが、個人的に“M”の真ん中が矢印となって下方へ伸びる、ふた昔前のタイプが一番好きです。わかりやすいですよね、あれって。

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【 Tommasini : トマジーニ 】

トマジーニの自転車は鉄系のものにしか興味がない…というカナシゲナ考えの方々も多くいらっしゃると思います。ボクはトマジーニに対してそれほどでの考えはありませんが、自転車全体的には鉄系への興味が非常に強いです。発色の美しい塗装や優雅で気高いクオリティのグラフィック、滑らかな輝を放つクロムメッキ処理の施された各部のラグや華奢なスティ、自転車競技全盛期のイタリアで製作されたロードレーサーの象徴ともいえるようなたたずまいを、現在の技術と品質で作り続けてくれている会社、それがトマジーニです。
自宅近所をふらふら散歩中、思わぬところに自転車ショップを発見して中に入ってみたのですが、そこでバッタリ出会ってしまったのです。運悪く用途を限定したロードを必要としている時期で、それなりに条件をクリアーしちゃっていたのです。おまけに、発売当初は超高額だったことを知っている、凝りまくった造形のコロンバスMSで組まれた、シリアルナンバー入りのフレーム。新品にも関わらずとても安価な価格設定でしたので、もう抗う術はありませんでした。MSってほぼトップグレードでしたよ、当時。その後、素材が微妙に変わってフレーム・チューブ界にニヴァクローム等の時代がやってきたんだと思います。いわば、最後のクロモリ製フラッグシップだったんでないでしょうか?ココの文章は、基本的に調べ物をしていないままのノウミソで書いておりますので、相当な確率で思い込みですが…。
一昔前の雑誌にファッションモデルとともに登場していた、メタリックグリーンの競技用でないツーリング車、ああゆうの今ほしいなぁ。

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自転車部品を作ってるトコ

 
 

自転車部品、実は生産国に対するコダワリってロード乗りはホトンド無いのではないでしょうか? 自分自身も、性能が良くてカッコ良ければどこの国で作られていようと全く問題ありません。逆にそこんトコに強烈なコダワリがあるのです。ところが、その考えでアッセンブル・パーツを集めてしまうと、あ〜らフシギ! 全部イタリア製になってしまうのです。おそらく、ご存知の方も多数いらっしゃると思いますので、これが偽りのない事実とご賛同いただけるのではないでしょうか。
日本のメーカーもごく稀に、唸ってしまうほどカッコヨイパーツを生み出しますよね〜。はっきり申しまして、ワタクシ釣り具屋さんは好きではありません。だって釣り具と、マグネシューム・ホイール、どちらがよろしいですか?ロードなんてイメージ重視なスポーツ機材なのですから、釣り具はちょっとアリエナイと思いますけど…。
それでもボクがデザイン的に一番衝撃を受けたのは、まぎれもない釣り具屋さんの作られましたDURA-ACE axです。完成度はさておき、あれを生み出した我が国のプロダクト・デザインの潜在能力にホコリを感じています。












【 Campagnolo : カンパニョーロ 】

基本的にCampagnoloを使用していると、他のメーカーの物が使えなくなります。それは、他のメーカーに手を出すほど経済的に余裕がないからなのかもしれません。また、どうしてもRecordにしてしまうのも、同様に経済的に余裕がないからなのかもしれません。スベテをレコードにしておくと年代的なことを多少無視してアッセンブルしても、なぜだか妙にしっくりするのです。また、たとえ中古で手放すとしても、モノによっては発売当初の金額をかるく超えてしまうことがあったりします。スポーツ機材として性能重視の選択をするのであれば、釣り具屋さんもアリなのですが、経済的に止むなく…という考えであれば、ムリをしてでもCampagnolo Recordをオススメいたします。な〜んて、皆さんダマされないでくださいね。
でもボクにとっては、それほど外れてないのかもしれません。例えばChorus、モノによってはレコードよりも剛性があったりして、逆に性能が上に感じられることもあるほどのパーツです。デザイン性においてもコーラスの方が…ってこともあるくらいで、なんら問題の無い素晴らしいコンポーネントグループとして、一般的に評価されていると思います。自分も疑いようもない現実を前に、当然のようにコーラスで組上げますし、グループセットも所有しています。ところが、なぜか“存在”そのものが宙に浮いてるように感じられてしまうのです。それは、イメージ的な事だけではなく、現実を目の当たりにしたときにこそ感じられてしまいます。例えば、フルセットで組まれたまるまる一台があったとします。リペアパーツが後々必要なので、それを入手しようと探すのですが、なかなか巡り会えない印象を受けます。その結果使い倒すことも出来ず、中途半端な存在となってしまいます。その点レコードであれば、プレミアム価格の新品から価格の控えめな中古品まで幅広く入手の可能性が開かれているのです。ロードバイクの部品は基本的にすべて消耗品ですので、フレームひとつに対してパーツセットをふたつ分用意してもなんら特別なことではありません。まんまふたつ分購入できるヒトは構いませんが、実際はそんなに余裕のあるヒトは少ないと思います。
ペダル史上一番の美しさと評価される、Croce d`Aune。当時セカンドグレードだったグループセットのクローチェ・ダウネですが、それ自身の滞空時間の短さから生じた絶対数の少なさから、現在は明らかにCレコより珍重されていると思います。それはもう、新品のフルセットなんて所有していようものなら「こんなモン持ってたら贅沢だ!!」と感じずにはいられないほどです。実際の現物を見比べればわかりますが、人気のペダルにしても細部のデザインや仕上げといった全体像において、明らかにCレコードに見劣りします。クランク等は写真ではわかりにくいのかもしれませんが、立体造形物としてちょっと無理を感じずにはいられません。それにくらべ、Cレコード前期のクランクは立体造形として完成の域に到達しているのが誰でもワカリヤス〜クく感じられます。あれはドーム状にシェイプされた立体物で、写真等によく見られる正面からのアングルではそれを感じることができないのです。(後期のものは造形が異なり、印象も全く異なりますので要注意… ロープロファイル化されたモノみたいですが、ワタクシに詳しい知識はございません。)クローチェ・ダウネも同様なドーム形状が基本なのですが、アームの複雑な形状によってその一番の造形的キモを表現しきれないで世に生み出されたようです。Cレコ系のピスト・クランク、グラフィック要素に変化はあるものの今も現役と思いますが、あの形が5アームでのドーム形状の完成型だと思います。クローチェの時代からピストもあると思いますので、いわばクローチェ・ダウネは、立体造形のバリエーションを確立できなかったゆえの妥協的造形なのではないでしょうか。
でもでも、クローチェ・ダウネはそこが魅力的なんです。カワイイんです〜っ!! デルタ・ブレーキを見比べれば一目瞭然ですが、あれはもうイキモノの魅力です。Cレコ・デルタも烏賊さんや蛙さん見たいでイキモノ的なのですが、シャープなスタイリングが施されてありますので、瞬時に美しさとか格好良さとかの脳内イメージに直結してしまいます。それに比べクローチェは、ウラガワのはみ出たスプリングなんか手足みたいで、ドンクサクいイキモノのような魔術的カワイイさを感じずにはいられません。各要素の長短の比率をからしても、明らかにそれを狙っているとしか思えません。
うん、やっぱりいろんな種類のパーツを所有するのって経済的に余裕のある贅沢だと思います。決めたら迷わず一直線ってのが、物理的にも精神的にも充実できる秘訣なのではないでしょうか…。

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